質疑応答

「説明してもらうよ、全てを」
まくろの手にした刃は、その背丈に数倍する体格の女の喉元に突きつけられていた。大柄なその女の名前は、存在しない。
その手には巨大なサーベル。剣の銘を、ナイトシュリーカー。
名無しの女は、剣の銘そのままにナイトシュリーカーの女と呼ばれていた。
「いったいあの女、どんなトリックを使ったのかな。 ヌの攻撃は確実に心臓を貫いていたはず、なのに」

首を強く圧迫する。皮膚が裂け、僅かな血が流れるが・・・巨体の女はいささかの痛痒も示さない。
それもそのはずだ。
血に、本来の熱い滾りはない。低温の流れはただ冷ややかに。
それは、死人の温度だった。

そこは暗い黄泉の世界。
まくろも、女も、共に既に死亡している身なのである。

「ナイトシュリーカーの女・・・・・・貴方も、あの二刀流の使い手に倒されたんだよね?
あの女は、一体どんな技を使うのかな・・・・・まくろ、教えて欲しいかな」


声は高く、されど暗く。
漆黒の底で、死者たちは沈黙を突きつけ続ける。