義憤

女は焦げ付いた床を踏みしめて、見た。

その光景を、見た。
焼け焦げ、未だ死に切れず苦悶の声を上げる意思ある植物、ナーナーたちの残骸を。
肉の塊と化して、野ざらしのままになった沼女の無残な姿を。


六娘祭は、その光景をしかと見た。


もし。
もし仮に、この光景を誰かが、悪意を持って演出したのだと推測したならば。
そして更に仮定して、その推測が当たっていたとするならば、その演出家は紛れも無くこの戦いにおける最大の『邪悪』であると、真っ先に排除すべき存在であろうと祭は考え、そして。

怒りに身を震わせたその無防備な首筋に、鋭利な切っ先が食い込んで、


鮮血が、焦げた床を染め上げた。



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