フィアマの空、屠殺彦の夏

「それでも、あなたが、」

鮮血が、視界を染め上げる。
それすらも、圧倒的な熱の前に刹那の間に蒸発して。

「やっとわかった、屠殺彦のこと。だからもういい。だいじょうぶ。へいき」
「フィアマ?」
「わたしは他の人なんか知らない。みんな死んじゃっても知らない。わたしは屠殺彦だけ守る。わたしは、屠殺彦のためだけに戦って、屠殺彦のためだけに死ぬ」
「わたし、屠殺彦だけでいい」